「ラッシュ/プライドと友情」の試写会へ行ってきた。

【総評】:

実際にあった出来事に忠実に映画化されている。ニキのニュルでの事故のシーンをはじめ、実際にあったシーンの再現率には脱帽です。

レースに興味ない人でもこの映画は観れると思う。オススメの一本!



【あらすじ】:(ネタバレ注意)

F3時代のニキとハントの描写から映画は始まる。

すでにハントはヘスケス卿というパトロンを得たレーサー、対するニキは銀行から融資を受けて走っている。

このF3時代での駆け引きで二人のパーソナリティをわかりやすく紹介している。

ハントがヘスケス卿のバックアップを受け、そのままF-1へステップアップ、ニキはBRMと契約してステップアップ。

BRMのマシンの不備を指摘し、クレイ・レガッツォーニに乗ってもらい2秒タイムを短縮させてみせるニキ。

クレイ・レガッツォーニにクルト・ユルゲンス宅のパーティへ連れられていくが、場の雰囲気に馴染めず立ち去ろうとするニキ。

ちょうど帰ろうとしていた後の奥さんになるマレーネの車で駅まで行くことになる。

途中車の不調を指摘するが、彼女は気にしない。案の定、車は故障してストップ。

途中でアルファに乗った通りがかりのイタリア人二人が現れて、ニキと気が付きおおはしゃぎ。彼らの運転して駅まで行くことに。

二人がはしゃいでいるのを見て不思議に思うマレーネ。彼は誰? と聞く。後席のイタリア人二人組は「フェラーリのF1ドライバー、ニキラウダだよと、知らないの?」という。

マレーネは「この人がF-1ドライバーだって信じられない。だって、地味だし、第一おじいさんみたいな運転だわよ、絶対ちがうわよ」という。

ニキいわく、「仕事で走っているわけじゃないから飛ばす必要はない。不必要なリスクは侵さない」と、といつものぶっきらぼうな口調で返す。

マレーネは挑発するように「私がお願いしてもだめ?」というとニキは意を決し、自身の存在を証明するかのように飛ばしだす。

やがて二人は結婚へ。

対するハントはヘスケス卿を訪ねてきたモデル、スージーと結婚。

1974年、ニキはフェラーリと契約し、翌1975年ワールドチャンピオンへ。対するハントはヘスケスチームで苦戦のシーズンを過ごす。

1975年末、ヘスケスチームはスポンサーを見つけることができず資金難で撤退、失意のハントだったが、エマーソンの抜けたマクラーレンへ移籍することになる。

序盤の不調・失格騒動などあり、なかなか調子を上げることができないが、シーズン中盤からようやく調子を上げていくハント。

ポイントを重ねて追い上げていくハントの様子に少々焦り気味のラウダ。そんな状況で運命のドイツGPがやってくる。

天候不良、危険なコースということで、レース中止をアピールするラウダ。ニキは20%以上のリスクはおかさない、危険だと主張する。

挑発するようにハントはレース開催を主張、結果的には多数決でレースは決行されることに。

ハーフウェットな路面のコンディション。ハント・ラウダともにウェットタイヤでスタートするが路面は乾き、タイヤ交換で両者ピットインするタイヤ交換で出遅れたニキは6週目にクラッシュし、炎上する大事故を起こしてしまう。

追突したランガー、エドワーズ、アートル、メルツァリオらによる捨て身の救出活動で助けだされたニキは地元の病院は収容される。

重体となり、意識朦朧とするニキ。やがて意識が戻り、まだ生きているから牧師は帰せ、といい、意識回復を聞いたマルレーヌはニキの病室へ。

肺にたまった膿を吸引するなどのつらい治療を克服し、イタリアGPで復帰するニキ。まだ視界不良で思うように走れない。

クラッシュするワトソンのペンスキーをかわして順位を上げ四位でフィニッシュ。対するハントはエンジントラブルでリタイヤ。

得意気に手を挙げるニキ。

そして迎える最終戦、富士のF1inジャパン。

雨天のレースとなり、中止も噂されるが、レースは決行される。スターティング・グリッドでお互いを認識、挨拶を交わす二人。レースはスタートする。

視界不良の中、しばし逡巡後ピットへ向かいリタイアするニキ。ダニエル・オーデット監督がマシンの不調だったことにするか、と聞かれるが、真実を話せというニキ。

ハントは三位以内でフィニッシュすればチャンピオン。

途中レインタイヤがブローしてピットイン、タイヤ交換で五位まで落ちるが、追い上げて三位になる。

電光掲示板ではオフィシャルの不手際で五位表示のまま。ピットへ戻ってきたハント。マクラーレンのテディ・メイヤー代表へ「ダメだったよチャンピオンにはなれなかった!」と意気消沈しつつ話すが、逆に「三位だよ、ジェームス!君はチャンピオンだ!」と祝福される。

勝者をたたえつつ、ヘリでサーキットを後にするラウダ夫妻。「後悔してない?」とマレーネ。「全然後悔してないよ、」とニキ。

チャンピオンになったハントはメディアへ引っ張りだこ。忙しいオフシーズンを過ごす。

翌年のシーズン前に飛行場でばったり出くわすニキとハント。

来シーズンへの健闘を誓いつつ二人は別れる。ジェットへ向かうハントを見送るニキのシーンに現実の二人がオーバラップするよう映像が挿入され、映画は終わる。



【小ネタ】:

・すでにハントはヘスケス卿というパトロンを得たレーサー、対するニキは銀行から融資を引き出して走る今日の資金持ち込み型ドライバーのはしりとして描かれている。

・F3時代の描写を通して、二人のパーソナリティをわかりやすく紹介している演出が好感が持てる。

・本人役もよく似てる役者を使っているが、奥さん役の二人もそっくり。

・ニキ役の俳優さん、ぶっきらぼうなニキのしゃべり方をうまく再現している。この映画は吹き替え版で見ると損するよ。

・ヘスケスのデザイナーとしてポストレスウェイト役の人ががわざわざ出ていた。

・ストーリーの関係上、マーチに乗っていた時代はカットされている。

・1974年のワトキンスグレンのヘルムート・コイニクの悲惨な事故シーンが挿入される。

・1976年初戦のブラジルGPはインテルラゴスの雰囲気に良く似ていた。真っ赤なエアダクトのM23や不格好なブラバムBT45のエアダクトがその当時のディテールを再現してあるのが素晴らしい。

・1975年で撤退するヘスケスチーム。考えてみれば、この時代元貴族のポケットマネーで一年間チームが運営できる時代だったのだ。今じゃ無理な話だ。

・ドイツGPでのニキの事故は今でも原因不明だが、この映画ではサスペンショントラブルを示唆しているようだ。

・最後のお祈りをする牧師や妻の横顔はニキ自身の回想だろう。

・劇中ではすさまじい治療の様子が描かれる。当時のAUTOSPORTS誌(1977年~78年)に連載されていた「宿命の対決・ハントvsラウダ(David Benson)」のまま。顔の火傷なんてどうってことないが、肺にたまった膿を吸いだす のが一番つらかったと書かれていた。

・イタリアGP、そしてF1 インジャパンでのニキの視界不良の様子が描かれているが、確かやけどのせいでうまく瞬きできず、眼球が潤わないので 高速でF-1を操るには実は厳しかったという話をどこかで聴いたことがある。

ラッシュ/プライドと友情

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