アンドレ・ザ・ジャイアントはデカかった。

 

大学のあった地方都市に新日本プロレスが興行に来ていた時の思い出話。

なぜ気がついたのかは思い出せないのだが、ホテルの一階にあるレストランに外人選手達が来てて食事しているという。

友人達とそのレストランへ慌てて行ってみると、本当に外人レスラー達が居て、食事をしていた。メンツは確か、アンドレ・ザ・ジャイアントの他にディック・マードック、マスクド・スーパースターもいたかもしれない。穏やかに食事を取っている外人選手達が見える場所に陣取った私達は、適当にコーヒーとかを注文して外人選手達の様子をチラ見していた。

中でもアンドレ・ザ・ジャイアントがやはりいちばん目を引いた。ふつーの大きさのフォークとナイフでハンバーグだかステーキだかを食べているのだが、アンドレが持つとそれが爪楊枝か何かで不自由そうに食事しているようにしか見えない。

やがて、彼らの食事が終わり、会計するために席を立ち、レジへ向かったのを見計らって私達も席を立ってレジへ向かい、彼らの後ろにたった。

私が先頭だったため、彼らの後ろに立つことになったのだが、彼らの最後尾はなんとアンドレ・ザ・ジャイアント。目の前に米俵2個分ぐらいあるお尻があり、その上に下半身よりボリュームのある上半身がその米俵の上に乗っかっていた。

その米俵を見ながら直後に並んでいる私の脳裏に横切ったことといえば

 

「もし、この状態でアンドレがけつまずいて尻もちをついてくれば、オレはつぶされて死ぬな」

 

ということ。

そのくらい、アンドレ・ザ・ジャイアントはデカく、そして高くそびえていた。

真後ろに立ったことを多少後悔しつつ、じっと待っていると会計が終わった彼らは静かに立ち去っていった。

あのアンドレ・ザ・ジャイアントと試合で立ち回る日本人レスラー達はなんとスゴイんだろう、と心から思ったのだった。

 

私がまだ地方の大学に通っていた頃の話である。