プロレスの試合のアルバイトに行った話

前回、アンドレ・ザ・ジャイアントがデカかった話を書いたが、でかいのはアンドレ・ザ・ジャイアントだけじゃなかったという話。

当時、大学の厚生課には日雇いバイト募集の張り紙が貼ってあって授業に行きがてらそれを観に行くのが日課だったのだが、ある日プロレスの試合会場設営のアルバイト募集の張り紙を見つけたので友人と速攻申し込んで行ってみた。

会場に着いてみると、リングや鉄柵は既に設営済みで小規模な会場だったこともありパイプ椅子なんかの設置もすぐに終わってしまったので後は山のようなポカリスウェットや烏龍茶を選手控室へ運んだり、その控室のストーブを点火したりといった雑用をこなしていた。

ストーブを点火するのに手間取っているとその控室にぞろぞろと前田日明をはじめとしたUWFの面々が入ってきた。前田日明がデカイのは当たり前として、テレビではふつーの大きさに見えた藤原喜明がデカかったのは衝撃的だった。あれだけ広かった控室だったのに、、狭いんだけど、、などと変なプレッシャーを感じながらもなんとか点火し終えてそそくさと控室を出ようとしたところで「兄ちゃん、ストーブが石油臭いからそこのドアあけとってや!」とだみ声で前田日明に言われてビビりながらドアを開け放した状態で固定して足早にその場を後にした。

そうこうするうちに開演時間が近づいてきてお客さんが入場してきて、出場選手達がリングや会場内でウォーミングアップをはじめだした。会場に来ていた知り合いと思われる方と話し込んでいたのは荒川真。彼もかなりデカかった。はちきれんばかりにシェイプアップされた彼の姿を見て、

 

「バットを持って立ち向かっても全然不利だな」

 

などとわけのわからないことを感じたりしてた。

やがて地方興行らしいのんびりしたムードの中で試合が始まり、メインイベントの試合が終わり、会場撤収に入った。試合の終わった選手は汗だくのまま車に乗って会場を後にしていくのだが、中でも坂口征二のデカさは際立っていた。褐色の汗だくの巨体をすぐ目の前にしてまたもや

 

「釘打ったバットを持って立ち向かっても絶対勝てないな」

 

と確信した。

テレビではわからない、ライブで見る大男たち、そしてその大男たちの試合はこの上もなくスゴかった。試合をただで見れただけでなく色々なことが理解できたり感じることができた、面白いアルバイト体験だった。