f1-gate.comより転載。
http://f1-gate.com/volkswagen/f1_8730.html
フォルクスワーゲンのモータースポーツ責任者であるハンス・ヨアヒム・スタックが、頭部外傷により手術を受けた。
ドイツのメディアによると、ハンス・ヨアヒム・スタックは、数週間前にニュルブルクリンクでアウディ R8を運転中に激しくクラッシュし、それによって生じた血腫のための手術を行ったという。
へー、ハンス・スタックって今VWにいたのね。
この人、レーシングドライバーで現役時代、ツーリングカー選手権とかの市販車ベースのレースの方での活躍が有名だったのだけれど、F-1でも一時期活躍していたことがあったのだ。
ブラバムからシャドウに移籍して走らないシャドウDN9に苦戦していた西アメリカGP(ロングビーチ)での予選での逸話が印象に残っている。それはざっとこんな感じ。
予選で激しくアタックするがタイムが出ないハンス・スタック。横にはチームメイトのクレイ・ラガッツォーニ。こちらももうあきらめ顔だ。「このマシンではもう何をやっても予選は通らないよ」とクレイ。
予選終了間際、コースから戻ってきたハンス・スタックはそのチームメイトの車に目をとめるとポジション合わせもリセッティングもせず、シートベルトをとめるのももどかしくそのままチームメイトの車に乗ってコースイン。
長身のスタックはコクピットから両肩を大きくそそり出しながらコースを激しく攻め立て、なんと予選通過タイムを出してしまった!
これに一番驚いたのはチームメイトのクレイ・レガッツォーニ。自分のレースカーで自分よりもイイタイムを出されたのだからたまらない。「ショックだよ!こりゃ驚いた。大変ショックだよ!!」とクレイ。
ともかく、シャドウチームは一台を予選通過させることに成功したのであった。
当時刊行されていた、1978年 ロングビーチGPのオートスポーツ誌の記事を記憶から掘り起こしてみました。今とは違う、牧歌的だけどとても魅力的なレースを展開していた頃のF-1のエピソード。
上はそのシャドウDN9を駆るハンス・スタック。下はチームメイトのクレイ・レガッツォーニ。
この後クレイはウイリアムズへ行き、FW07という名車に出会いキャリアを復活させ、1979年のイギリスGPで優勝する。
対してハンス・スタックの方はというとこの後ATSというこれまた走らないチームへ移籍してしまい、F-1でのキャリアを終了させてしまうことになるのであった。
この頃のATSの車が激しくかっこわるいデザインだったのだけれど、個性的で今思うとある種の個性的なデザインだったなあ。