フォードVSフェラーリを観てきた。

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けを観たばかりだというのに早速次の映画を観に行ってきた。「フォードVSフェラーリ」だ。

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「Go like HELL 」というA.J.ベイム著作の本が原作になっていると思われる本作品、原作が面白かったので楽しみにして観に行ってきた。いい映画になっていたとは思うが、かなり削りに削ってケン・マイルズとキャロル・シェルビーとレオ・ビーブしかでてきてないような感じになっていたのは残念だが、原作に忠実にプロットして作ろうとするとドラマ化して数シーズン必要になってしまうのでしょうがないかと思うが、原作というか事実と違っていた部分で気がついたところを列記しておく。

 

  1. フォードGT40のプロジェクトに最初からシェルビーは参加していたわけでなく、最初の1964年のルマン挑戦後に二年目、1965年からである。
  2. 初期のフォードGT40プロジェクトを手掛けていたのはジョン・ワイヤーのグループであり、それをジョン・ワイヤーから取り上げてシェルビー達に任せたのは他ならぬレオ・ビーブである。
  3. 1965年のシェルビー達にとっての最初のルマンでのフォードGT40プロジェクトでの二回目の出走時にはケン・マイルズは既にドライバーとして抜擢されている。
  4. 1966年、ケン・マイルズが二位に終わってしまった時にはエンツォ・フェラーリは会場に来ていない(既にエンツォは現場にこなくなりゴッツィやドラゴーニにまかせていた)。
  5. フェラーリとの資本提携がご破産になった時に、エンツォ・フェラーリと面談していたのはアイアコッカではなく、彼の部下のドン・フレイとロイ・ランである(そもそもアイアコッカはレース畑にはあまり首を突っ込んでいない)。ただしフェラーリが会社を売りたがっていると聞きつけて調査を命じたのはアイアコッカ
  6. フォード二世を乗せて車で飛ばして走った話のエピソードが挿入されていたが、その時運転してたのはケン・マイルズ。
  7. ゴールシーンで3台並んでゴールする、というアイデアはビープとシェルビーで相談して決めたもので、ビープの悪意のような演出がされていたがそのようなことはない。それどころかオフィシャルから同時優勝にならないと聞かされた時に一番困っていたのはビープ。

ざっと気がついただけでもこれだけ相違点があるが、ケン・マイルズとキャロル・シェルビーに絞って描こうとする場合、ドラマティックに演出せず、事実にとらわれ過ぎるとストーリの起伏が乏しくなって凡作と化してしまうので史実を改変してるところや、ビープを悪役に仕立ててるところなどはまぁ、しょうがない、といったところか。

本音を言えば、ケン・マイルズとキャロル・シェルビーの方に絞らずに、フェラーリ陣営、サーティーズとドラゴーニそしてエンツォに絞った方が変な脚色をせずとも史実のままで素晴らしく起伏に飛んだ物語になっていたのではないかな、と思う。

そんな重箱のスミのような話はおいといて、この映画の最大の美点はやはり映像とサウンドだ。

フォードGT40MarkⅡやフェラーリP330P3のなんと美しいこと、そして排気音の迫力!

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ちゃんとV型12気筒とアメリカンV8のサウンドがばっちり再現されている。このサウンドを聞くためにIMAXで観るのも十分有りだと思う。

劇中でもケン・マイルズが言っていたが、フェラーリP330P3は美しい車だと思うなぁ。 


映画『フォードvsフェラーリ』予告編

 

 

フォードvsフェラーリ 伝説のル・マン

フォードvsフェラーリ 伝説のル・マン

  • 作者:A.J.ベイム
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/09/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)