ランス自伝 書評 その2

毎秒が生きるチャンス!の再読後の書評である。

癌からの生還後、その戦いとも言えるほどの集中力・モティベーションを仕事であるロードレースに振り向け、見事ツール・ド・フランスで優勝したその後が描かれている作品である。

 最初はツール・ド・フランスを連覇することで消化できていたそのパラノイヤ的なモティベーションを段々と自分でももてあましている様子がよくわかるる。最初の方では出ていた奥さんの記述が後半に無くなり、それと同時に視点が家族のことから対癌戦線のことへ変化していっているのが分かる。

 ツール・ド・フランスを勝ち続け、より大きな目標へと進み続けざるを得ない男の悲劇がここにある。

 彼は一度負けるべきだった。そうすれば離婚することも無かったも知れない。敗北や挫折より得られるものは実は大きいのである。