恐怖の記憶

 右の下り、逆バンクになっているコーナーが苦手である。

なぜかというと高校生の頃乗っていたオートバイで事故ったからだ。

 縁石いっぱいから内側へクリップを取るつもりでアプローチした際に路肩の砂利に乗り、側溝に前輪を落としてバイクに巴投げをくらった。

 数十メーター路上をずるずると下っていったが事故の時の鮮明な記憶と言えばヘルメットを被った目の前を流れていくアスファルトだ。

ヘルメットを被ってなければ死んでいただろう。

さらに幸いなことに後続車も対向車も来ていなかった。

 その事故以来、どうも下りの二輪ではびびりが入ってうまくクリアできない。嫁さんより遅いぐらいだ。

 自転車に乗り出して、右の下り、逆バンクになっているコーナーで体が硬直したようになりうまくクリアできないことがままあるのでどうしてかな、と記憶をたどっていくとそういう昔の記憶にいきあたった。

 脳よりも体の方が恐怖の記憶については刷り込みが強いということだろうか?