ふと思い出したので書く。
これは大学生時代に私自身が経験したことである。
大学生の間はとかく夜更かし、ダラダラと長寝をする生活だったからか、よく夢を見ることが多かった。
多くの夢はその時抱いていた願望とか、欲望とか、不安がネタになってるなぁ、と見ている間に気がつくものが多かった。
しかし、たまにいくつか、今までの経験とか見てきたものとかとおおよそ程遠い夢を見ることがあった。
その多くは今まで全く行ったことのないような場所で、友人と遊んでいるとか、何かをしている、といったのをあたかも映像として見ているような感じのものであった。
そういった夢の中でも印象的だった夢の話をここに記す。
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その夢は、どこかの家電屋のミニコンポ売り場を少し離れたところから固定カメラで撮っている映像のような夢だった。
その映像の中で、私と友人でミニコンポの品定めをしている、という映像だった。
今でも憶えているのは、その友人が夢の中で「でも、やっぱり短波が聞けないとダメだよなぁ」と言っていたセリフだった。
この夢を見て、起きた時、どうしてこのような夢を見たのかまったく想像が付かなかったのを憶えている。
夢の中で見た売り場を含めた風景が全く見たことがない場所だったからだ。
やがて数日が経って、友人と大学のある市内の商店街を歩いていると、家電屋が新装オープンしているのが目についたのでさっそく入って見ることにした。
私にとってめぼしいものはなく、すぐに飽きてしまい、私はなんとなく売り場をブラブラしていた。
と、その時、見たことあるような、ないような、赤いワインレッドのミニコンポの筐体が目に入ってきた。
このミニコンポ、、どこかで見たことがあるぞ、、どこだっけな??
と思いつつそのミニコンポを見ていると、いっしょに来ていた友人がこう言った。
「この値段でイコライザーが付いているのはいいけどなぁ、でも、やっぱり短波が聞けないとダメだよなぁ」
その言葉を聞いた途端、夢でこの言葉、この売場を見ていたことを思い出した。その友人を振り返り、
「おいT(その友人の苗字)、今、短波が聞けないとダメだよなぁ、と喋ったか?!」と聞いた。
彼はそう言ったよ、と答えた。
夢の事を思い出した私は、その夢では少し離れたところから固定カメラで撮っているような映像だったことを思い出した。
もし映像として撮ってるのだったらここらへんからになるだろう、という場所へ目をやると、そこには、二階に上る階段があってそこに小学生ぐらいの子供が座ってこちらを見ていた。
その子供が不気味だったとか、その姿がすぅと消えてしまった、とかいったホラーチックなことは全然無く、その子供は凝視している私の事を不思議そうに見返しているだけだった。
私が見た予知夢は、この階段に腰掛けてこちらを見てたその子の目に写っていた風景だったのだ、と思い慄然としたものだ。