アロウズ A1

<flickr.comより引用>



1978年 後半に今は無きF-1のチーム、アロウズが走らせてたのがこの車。デザイナーは後年Cカーの設計で有名を馳せるトニー・サウスゲイト

シャドウチームから分離独立したこのチームはシャドウを去る前にサウスゲイトが設計していたシャドウDN9とほとんど同じだった車、アロウズFA1を走らせていたのだが、裁判で負けてFA1を走らせることができなくなったため、急遽1978年の後半戦でアロウズ A1を完成させ第12戦のオーストリアGPから走らせた。

<flickr.comより引用>


当時はロータス79がサイドポッド+スカートで発生させていた負圧を効率よく後方へ流すためのロッカー・アームを介したインボードサスペンションを採用し、GPシーンを席巻していたが、このA1はロータス79以外でのインボード・リア・サスペンションを採用していたのが特色だった。

<www.allcarcentral.comより引用>


ごらんのとおり、スプリング・ダンパーを縦置きミッションの上に配置し、トラス状に構成したサスペンションアームで保持する構成をとっており、当時「ベルクランク方式・サスペンションシステム」と呼ばれていた。

F1ではプルロッド/プッシュロッド方式が主流となり、このベルクランク方式は陽の目を見なかったがトニー・サウスゲイトが後年活躍したプロトタイプカーの世界ではポルシェ956をはじめ多くのCカーが採用するところとなった。

プロダクション・カーの世界においても、ポルシェ・カレラGTやケーニグセグCCXのようなスーパーカーではこのベルクランク方式のサスペンションは採用されているようだ。

この車、というかトニー・サウスゲイトのベンチュリー・カーの空力の解釈はちょっと独自なモノがあり、サイドウイング上部が波打つような形状になっている。その波打つような形状はフロントウイングにも採用されていた時期があった。

波打つような形状はより強いダウンフォースの発生には繋がらなかったようだが、何故かストレートで速い車だった。

またフロントラジエターを採用し、サイドウイング内にオイルクーラーを配置していたのも今となっては個性的に見える。

A1、A2、そしてA3と続く初期のアロウズの車は個性的で個人的にはとても好きな車だった。