1976年、突如としてティレルよりリリースされた6輪車。デザイナーは一連のティレルシリーズをデザインしたディレック・ガードナー。
コンセプトはより小さい前輪を使用し、スポーツカーノーズの陰に納めることで前影投影面積を減らして最高速度を稼ぎつつ、増えた設置面積によるグリップも稼ごう、といったもの。
デビューは1976年第4戦のスペインGPでデビュー。デビュー戦こそリタイヤに終わったものの、次戦のベルギーGPでの入賞を皮切りに、モナコ、スペイン、スウェーデン、フランス、イギリス、ドイツと立て続けに入賞。中でもスウェーデンGPでは1-2フィニッシュを飾って一躍注目を集めることとなる。
デパイエはこの6輪車を気に入ってたようだが、シェクターはあまり好きではなかったらしい。ちなみに翌年マーチから移籍してきたピーターソンもこの車を好きではなかったそうだ。
紹介している動画では前4輪がシンクロしてステアしている様子がよくわかる。こうやって動画でみると4つある前輪、というのはとても奇妙で新鮮に見える。
動画の後半の映像は1976年のモナコGPとスウェーデンGPから引用されたもの。デパイエ、シェクターの二人ともパワードリフト気味にコーナリングしているのがよく分かる。この1976年のモナコGPを見る限り、前4輪のこの車はとても調子よく走っているように見える。
このティレルP34、デビューの初年度こそ好成績だったものの、グッドイヤーが規格外の10インチサイズのタイヤ開発に乗り気でなく、翌年の1977年では一転して不調なシーズンを送ることとなってしまった。
Tyrrell P34(1976)